BearLog PART2

暇な中年の独り言です

「俺の家の話」は本当におれの家の話だった笑

 金曜日10時からTBSで放映されている宮藤官九郎脚本、長瀬智也主演の「俺の家の話」である。

www.tbs.co.jp

 テレビドラマをここ最近あまり見ていない私なのであるが、久しぶりに見ようと思ったのには二つ訳がある。

 一つは能楽師の家の話だから、ということ。

 もう一つは父親の介護の話だから、ということ。

 最初の一つについて。

 自分が喜多流能楽を学んでいることから、言うまでもなくあまりテレビで取り上げられることのない能楽がどう取り上げられるのかという興味である。

 もう一つの方について。

 実際に自分の父親が認知症を患って、介護施設にフルフル入居しているという個人的事情があって、このドラマでは認知症や介護の問題がどのように描かれるのかに興味津々だということである。

 とくに初回、西田敏行演じる観山寿三郎が要介護認定審査の面接を受けるシーンがある。

 実は私自身、父親が要介護認定を申請する際の面接に同席をしたことがあるのだが、認知症患者が本当にやるであろうことがそのまま画面上に現れたので、ちょっとドキっとしてしまったのだ。

 思いつくままに野菜の名前を言って下さいという質問に対して、観山寿三郎は色々と言い訳っぽいことをひたすら並べ、なかなか野菜の名前を言おうとしない。

 まさにこれなんである。この状況、なんである。

 うちの父親も今日の日付を聞かれた時に、「ええと、今日はね、大事に日なんですよね。そうそうすごく大事な日でね……云々」と言って、肝心の今日の日付を答えようとはしなかった、というか答えることができなかった。

 いやいや、それ「俺の家の話」だから!と思わずテレビの画面にツッコミを入れたくなった。いや、入れていたかもしれない。

 認知症を患っている私の父親はそのとき、「分からない」という一言を絶対に言おうとしなかったのだ。

 この部分の描写が自分にとってはとにかく秀逸で、その後、風呂場で観山寿一(長瀬智也)が寿三郎の体を洗ってやりながら「八百屋じゃねえんだから」と言って寿三郎を慰めるシーンがあるわけなんだが、クドカン的なあざとさを感じながらも私自身、ちょっと何とも言えない心境になってしまったのだ。

 それはともかく。

 あちらこちらにジャニタレを配置して、かなりあざとい感じで視聴者を惹き付けようとしている感じ満載ではあるのだが、それはそれでいいじゃん、という気もする。ジャニタレ見たさで見に来た人が能楽にちょっとでも関心を持ってくれれば能楽ファンとしては嬉しい限りだし、日本が世界に誇る伝統芸能の火を絶やさないという意味でもファンの数は極めて重要なのだ。

 ストーリーの進行上、次回には観山寿一の「高砂」の仕舞が出てくるようである。

 役名が「観山」となっているから、明らかに観世流を意識しているのであろうし、これから出てくるであろう能楽のシーンは多分観世流なんだろうなあと推測しているが、ぞれぞれの役者がどのような能楽のパフォーマンスを見せるかという点についても興味津々。

 久しぶりに金曜日10時はテレビの前に貼りつこうと思っている私、なのであった。

 

 そして、この「俺の家の話」をきっかけ?にして、いとうせいこう氏も能楽を習っているようだし、このまま令和の世に能楽ブームが来ないかなーとひそかにかつ真剣に祈っている私、なんである。