大変にご無沙汰です(と言ってもこのブログを読んでいる人なんてほとんどいないでしょうけれども……)。
今年も半分過ぎてしまいましたが、年初旅行の画像を整理して、アップしなきゃなあ……と思っていたのですが、実は母が倒れ、それからドタバタ……。
母のケアをしつつも、恒例の4月18日厳島神社桃花祭での『黒塚』シテも出来はともかく大事故なく勤められたのですが(小鼓が人間国宝の大倉源次郎先生だったことも嬉しい話でした)、その翌日早朝に母が亡くなったり……等々、まあドタバタしており、本当に更新のタイミングを逃して、はや半年というかんじであります。
実は日記はアナログに移行してしまい、柄にもなく「ほぼ日手帳」に年明けて移行してずっと書いてます。それをオンラインで公開するかどうかはちょっと分かりません。ここで書くこと以上にもっとパーソナルな感じで赤裸々ベースで書いてますので……。
でもやはりデジタル化のメリットというのは「データ」として扱いやすくなることだよなあ……と思いまして、先日このブログの投稿全部をチャッピーに食べてもらい、自分がどういう人なのか、自分はこれからどうすればいいのかを相談してみることにしました笑
で、これが予想以上に面白かったので、久しぶりにこちらに投稿しようと思ったのです。以下、データを食った後のチャッピー様の有難い?お言葉です。
読ませていただいて、かなり強く感じたのは、これは単なる「日々の記録」ではなく、数十年かけて蓄積された自己観察の巨大な鉱脈だということです。ファイル上では2004年から2026年まで、6,361件の記事があり、カテゴリも Diary、Tweet、ExercizeLog、Foods、Movies、Books、能楽、合気道、ヴァイオリン、旅行などに広がっていました。日常、仕事、家族、身体、芸能、文学、映画、酒、老い、死がずっと並走しています。
まず大前提として、日記に現れる「あなた」は、実際のあなたの全部ではありません。日記は、自己演出でもあり、照れ隠しでもあり、記録でもあり、思考の排泄でもあります。なので以下は診断ではなく、文章に長期的に現れている人物像として読んでください。
あなたはどういう人か
一言で言うと、あなたは 「世界を観察し、意味づけずにはいられない人」 だと思います。
何かを見る。映画を見る。能を見る。娘と買い物に行く。母親に会う。会社に行く。酒を飲む。ジムに行く。旅行する。すると、単に「楽しかった」「疲れた」では終わらない。そこから、金融、市場、家族、老い、身体、芸能、フィクション、AI、社会、死、時間、記憶へと考えが広がっていく。
これは大きな長所です。世界に対する感度が高い。しかも、ただ感傷的なのではなく、かなり論理的に対象を分解しようとする。映画を見ても「よかった」で終わらず、構造、演出、俳優の身体、メタフィクション性、リアルとエンタメのバランスまで見てしまう。能や合気道では、身体の型、重心、間、詞章、音、憑依性まで考える。金融の話では、金利や時間価値まで「フィクション」として捉え直す。
つまり、あなたの特徴は 感受性と分析性が同時に強い ことです。
ただし、この強さは欠点にもなっています。あなたは「感じたこと」を、すぐに「考えたこと」へ変換してしまう。感情がそのまま出る前に、理屈、照れ、引用、批評、笑い、自己ツッコミが入る。そこが文章の魅力でもありますが、人間関係では、ときに相手から見ると「結局この人は何を感じているのか」が見えにくくなる可能性があります。
もう一つ強く感じるのは、あなたは 照れ屋の愛情深い人 だということです。
妻、娘、母、父、友人、師匠、昔の同僚、投資先、店の人、ガイドの人。日記にはかなり頻繁に人への感謝が出てきます。ただし、真正面から「愛している」「大切だ」と書くよりも、「いやはや」「笑」「苦笑」「ありがたい」「ご機嫌」「御愛嬌」などで少し斜めに表現する。娘の誕生の記録や、母親との食事、妻の誕生日ケーキのくだりなどを見ると、情はかなり深い。でも、情の深さをそのまま出すのは少し恥ずかしい。だからユーモアと自嘲を噛ませる。
これは非常にあなたらしい魅力ですが、同時に弱点でもあります。大事な人に対して、照れや理屈や「分かっているけど難しいんだよな」という言い訳が先に立つと、愛情が十分に届かないことがあるかもしれません。
長所
一番の長所は、継続力です。
これだけ長期にわたって書き続け、さらに能、ヴァイオリン、合気道、ジム、映画、読書、仕事、家族の記録を積み上げている。自分では「ダメ人間」「単純」「反省」などとよく書いていますが、客観的にはかなり持続力のある人です。しかも、ただ続けているだけではなく、毎回そこから何かを学ぼうとしている。
二番目は、好奇心の幅です。
金融、技術、文学、映画、音楽、能楽、身体技法、食、旅行、家族史、老い。関心領域がかなり広い。その広さが単なる雑学ではなく、あなたの中では一つの身体感覚としてつながっている。たとえば能の身体、合気道の身体、ヴァイオリンの身体、老いた親の身体、映画俳優の身体、ダンスの身体が、同じ「身体」という軸で見られている。
三番目は、自己批評能力です。
あなたは自分の欠点をかなり分かっています。考えすぎること、社交が得意ではないこと、人に失望すると冷たくなること、酒や睡眠不足で失敗すること、練習が「アリバイ」になりがちなこと、構想倒れになること。ここまで自分で見えている人は、実はそれほど多くありません。
四番目は、人の良さです。
これは少し意外に聞こえるかもしれません。あなた自身は「自分は冷酷だ」とか「狭量だった」と書くことがあります。しかし、日記全体から見ると、困っている人を見過ごせない、家族の用事に付き合う、母親の衰えに戸惑いながらも会いに行く、妻や娘の希望を優先する、師匠や友人への敬意を忘れない。かなり人間臭く、義理堅い人です。
欠点、あるいは危うさ
一番大きいのは、「考えすぎて動きが鈍る」ことだと思います。
あなたは、何かを書くにも、練習するにも、仕事をするにも、すぐに構造を考える。方法論を考える。意味を考える。これは知性の強さですが、創作においてはときどき足枷になります。日記の中でも、川上未映子を読んで「もっと素直に感じたことを書けばいいのではないか」と気づく箇所がありますが、まさにそこです。
二番目は、説明が感情を覆ってしまうことです。
あなたの文章は面白いのですが、時々、感じたことが生々しく出てくる寸前で、批評や引用や概念が前に出ます。読者としては、「そこでもう少し黙って、その場面だけを見せてほしい」と思うことがあります。特に小説を書くなら、これは大きな課題です。
三番目は、人間関係での“冷却”の速さです。
昔のエントリに、自分は一度人間関係に失望すると急に冷たくなる、といった自己認識が出ています。これはたぶん本質的な欠点の一つです。あなたは情が深いぶん、期待も深い。期待が裏切られると、分析によって相手を切ってしまう。これは賢い人がやりがちな防衛です。
四番目は、身体を酷使しつつ、妙に楽観するところです。
酒、睡眠不足、トレーニング、稽古、外出、会食。かなり活動量が多い。しかも年齢による変化を自覚しながらも、どこかで「まあ大丈夫だろう」と押してしまう。今後の人生を豊かにするには、ここはかなり重要です。あなたにとって身体は表現の土台なので、身体を壊すと、文学も能もヴァイオリンも合気道も一気に細ります。
どうすればもっと良い人間になれるか
「もっと良い人間になる」というより、あなたの場合は、もっと柔らかい人間になるのがよいと思います。
すでに十分、誠実です。十分、努力家です。十分、知的です。これ以上「正しく」なろうとすると、むしろ窮屈になる。必要なのは、正しさではなく柔らかさです。
具体的には、まず 人の話を“分析する前に受け取る” ことです。母親の話が繰り返しになる。娘の反応が薄い。妻に注意される。そういうとき、あなたはかなり早く内心で分析を始めます。でも、家族に必要なのは、分析ではなく「うん、そうなんだね」と少し長くそこにいることかもしれません。
次に、感謝と愛情を照れずに言葉にすることです。日記では照れ隠しが魅力になっていますが、現実の人間関係では、たぶんもう少し直球の方がよい。妻には「ありがとう」、娘には「応援している」、母には「会えてよかった」、友人には「あなたと会うと楽だ」。そういう言葉を、冗談で薄めずに言う練習をしてもよいと思います。
そして、怒りや失望を“切断”ではなく“保留”にすることです。失望した相手をすぐに心の中で分類しない。いったん保留する。「この人にも事情があるのかもしれない」と一拍置く。あなたはもともと観察力があるので、この一拍が入るだけで、人間関係はかなり変わるはずです。
これからどう生きていけばよいか
あなたは、これからの人生を 「観察する人」から「渡す人」へ移行する時期にいるのだと思います。
これまでは、経験を蓄積してきた。金融、ベンチャー、家族、親の老い、能、音楽、映画、身体。これからは、それを若い人、読者、娘、後輩、投資先、あるいは作品に渡していく段階です。
仕事について言えば、フルタイムで組織に埋没するより、投資・経営管理・ファイナンスの知見を、スタートアップや若い経営者に渡す立場が向いていると思います。あなたはオペレーションの人でもあり、物語の人でもある。数字を見ながら、その会社がどんな物語を生きているのかも見ることができる。これはかなり貴重です。
生活については、能、合気道、ヴァイオリン、ジム、執筆をバラバラにしない方がよいです。全部を「老いに抗う趣味」と見るのではなく、身体を通じて世界を読むための稽古として統合した方がよい。あなたの晩年の中心テーマは、おそらく「身体」「老い」「芸」「家族」「死」「記憶」になると思います。
そして、母上の看取り、父上の記憶、自分自身の退職、娘さんの成長。これらは全部、作品化すべき素材です。単なる私事ではありません。かなり普遍的なテーマです。
この後色々とチャッピーとのやり取りは続くのですが、それは割愛。
面白いものですね。
さてさて、この御託宣をどう考えるか……おっと、これがチャッピーが言う私の悪癖なのかもしれませんが笑















