BearLog PART2

暇な中年の独り言です

 まぐれ

 題名にひかれて買ってみたのだが、これ、意外と面白い。著者のタレブ氏はオプショントレーダー兼大学教授だそうで、一昔前の私だったら、憧れてしまうようなポストだ(笑)
 金融市場の経験がないと、なかなか分かり難いだろうなあという記述が多々みられ、翻訳があまりよくないのだと思うのだが、一読して???と思い、元に戻って読み返す部分が案外あるので(それなら原文で読めってことなんだな。最近落ちていく英語力を何とか維持しなければという問題意識が多少出てきた)、一般の人々は非常に取っ付きにくい本になってしまっていると思う。こういうの、本当に翻訳次第なんだよなあ。翻訳をした方にはもっと頑張って欲しいなあ……。
 色々と面白い記述は多々あるのだが、私が一番気に入ったのは次の一節。思わず引用してしまうのだが。

ソロスのような本物の投機家とそうでない人たちを分けるのは、前者の行動には経路依存性が見られないことだ。彼らは過去の行動からまったく自由である。毎日がまったく新しい状態で始まるのだ。

 みんながみんな、それなりに気付いていることかもしれないのだが、ここまでアッケラカンと言われると胸のつかえがすっと降りる(笑) ここでいう「経路依存症」というのは、偶然に起こったことに対してある種の蓋然性を認め、未来もそれが繰り返すと思っていることだ(すみません、これは私の理解の範囲内です)。しかし、ソロスのような人は、どんな経路からもまったくもって自由だということなのだ。
 これだけではなく、まだまだ示唆に富む言葉が多くあるので、この本は隠れた名著だと思うのだ。