BearLog PART2

暇な中年の独り言です

 退院前日

 1週間の育児休暇開始。
 朝念入りに掃除をする。何と言っても我が家は夫婦そろって小児喘息経験者だから、埃には特に気を遣う。そうこうするうちに、早めに病院へ来てくれたらうれしいとの連絡が妻から入り、10時30分くらいに病院に着く。きちんとした格好をしていった方がいいのかなと思ったので、さすがにネクタイはしないけれども、白いダブルカフスのワイシャツにテディベアのカフリンクス、そしてスーツ(このスーツ自体は安物だ。夏は傷むので高級品は買えない。おお、貧乏性)。身が少しだけ引き締まる。
 病室へ顔を出すと、妻も娘も元気そう。何よりだ。妻の方も授乳させるときの初期動作がかなり慣れてきており、安定感がでてきたのは何よりだった。
 タクシーを呼んで、病院を出る。親子三人で初めてタクシーに乗る。何だか不思議な感覚だ。子連れで青山通りを通り、子連れで表参道を通り、井の頭通り、甲州街道を経由して自宅へ。まずはマンションの管理人さんからの祝福を受ける。
 部屋へ入って、知り合いから頂戴したベビーベッドに娘を寝かせる。一張羅のセリーヌの服を脱がせる。この娘がセリーヌで全身キメるのは、これが最初で最後かもしれないなどとクダラナイことを思う。
 何はともあれ、何だか感慨深い。本当に不思議な感覚だ。
 生活環境をばたばたとセットアップしているうちに、夕方になる。夕方になるとプレお七夜ということで、叔母、従姉妹、母、弟がやってくる。叔母はこの日のためにお頭付きのタイを持ってきてくれた。このタイ、本当に美味しくて、残ったものについては二日かけて丁寧に我が家で消費させて頂いた。
 親戚の祝福を受けながらも、娘は、みんながきたときに少しおっぱいを飲んだだけで、基本的にはずっと寝ている。ある意味愛想なし、だ。
 父が書いた「命名○○」の楷書を壁に貼ったらさらに実感アップ。夫婦で「子供ができたら目を入れよう」といっていた達磨にも両目が入り(この達磨、なくなった叔父がくれたものだ)、晴れて家族三人になった気がした。
 気がした、というか、家族三人なのだ。