BearLog PART2

暇な中年の独り言です

「親子登山」という素敵な体験について

 久しぶりにBlogを書いてみようと思うような素敵な出来事(この私が「素敵」という感じ二文字を使うという時点で、その「素敵」さを是非感じて頂きたい)があったので、おもむろにキーボードをぽつりぽつりと叩いている。

 妻がちょっと前に、吉祥寺のパタゴニアで「野外学校FOS」というところのチラシを見つけ、FOS主催の「『親子登山』というアクティビティがあるから行ってみない?」と言い出した。
 私自身は、一時期マウンテンバイクにはまったり、比較的コンスタントにロードバイクに乗っていたり(最近は悲しいかな、ほとんど乗れていないのだが)、お外で体を動かすということについては比較的好きな方ではある。しかし、こと「山」とか「キャンプ」といったことには生来の不器用さが災いして、あまり手を染めてはいなかった。とはいうものの、何となくそういったアウトドアでの活動が良いものだということは、特にマウンテンバイクの経験から分かっており、折があればやってみたいと思っていたのだが、その機会があまりないまま、この年になってしまったので、妻のお誘いには二つ返事で「いいよ」と答えたわけである。
 とはいえ、慎重派の妻は「親子登山」が、ずぶの素人の我々には体力的・技術的に辛いのではないかと心配し、主催者であるFOSにさっそくメールで問い合わせをしてみたのだった。
 早々にメールの返事を頂いたのだが、基本的には、小学校1年生でも特に無理なく参加できるとのことなのだが、そのメールの書きぶりが「素敵」だったので、きっと楽しいイベントになるに違いないと言っていたのだが、果たして、
 まったくその通りで、本当に楽しい1日になったのだった。

 集合場所は、京急神武寺駅。目的地は鷹取山。昔は石切場だったらしい。集合場所までは、直接電車で行っても良かったのだが、帰り道に娘が爆睡してしまったらかわいそうかなと思い、車で行くことにした。とはいえ、神武寺付近にはあまり駐車場がないようだったので、新逗子駅付近のコインパーキングに止めて、一駅だけ電車に乗るということにした。もちろん、神武寺で降りるなんて初めてのことだった。
 思ったよりも早くに神武寺駅に着いたら、大きなリュックを背負った女性とリュックと登山靴で武装した子供たち何人かとすぐに出会った。
 その方は、にっこり笑って「あのFOSの戸高です」と話しかけてくださった。「親子登山」だから、その風体ですぐに分かるとはいえ、こちらから話かけるよりも話かけて頂くと緊張はより解れ易いというもの。
 有難い。
 そうこうするうちに参加者が徐々に集まり出し、お互いに挨拶をしているうちに、FOSの主催者戸高雅史氏が登場した。
 実は我々夫婦は、この時点では、戸高雅史氏が8000m級の山の数々を単独登攀している高名な登山家であるとは露知らず。ウクレレ抱えたナイスな人、くらいの感じでしかいなかったのだが、いやはや、どう言葉にしていいのだろう。戸高雅史氏と優美夫人の(最初に駅で声をかけて頂いた女性)が醸し出す、何ともゆったりとした大らかな雰囲気に、すっかりまいってしまったのだ。
 私なぞは五十になったとはいえ、どこからどう見てもギスギスしているし、自分自身は大らかでいたいと思いつつも、ささいな事で怒り喚き、自分も周囲の人々もその心をささくれ立たせてしまうのを唯一の特技としているわけで、そういう人間からすると、羨ましいというか、梵天丸もかくありたい(古いなあ)というか、そういうかんじなのだった。
 で、この親子登山、一時が万事、そういう「大らかさ」の中で行われた。
 そして戸高雅史氏は道中、ずっとウクレレをつま弾き、歌を歌ってくれていて、これが何だか、とてつもなくいい感じなのである。我が娘も、いつの間にか、FOSのアクティビティ常連の子供たちが構成する先頭グループの一角を占め、のりのりで登山している。いやはや、何とも。
 はっきり言って、私の貧相な文章力では伝えきれない、よい塩梅(まさに「塩梅」としか言いようのないもの)の空気感が漂い、本当に心地よかった。以下、道中の画像である。


 神武寺


 鐘撞堂。実際に時を告げる時に使っているらしく、「鳴らすな」との張り紙があった。


 お地蔵さん。


 途中、くっきりと富士山が見えた。子供達は大騒ぎである。でも本当に富士山って不思議な形をしている。


 こんなかんじで岩肌が露わになっているのは、まさに石切場だった昔を思わせる。


 鷹取山の展望台。この下はかなり広いスペースが開けていて、子供たちはそこで自由に遊ぶという構え。当然、展望台にも昇るわけだが、ここからの眺めがまたいいのだった。


 こんなかんじのよい景色。

 とまあ、途中、子供達を飽きさせずに山を楽しませ、頂上に着いてからは、露わになった岩肌でボルダリングの子供&大人向け講座。シューズも用意して下さっていた。そりゃ荷物も大きくなるわけである。難しいところは無理だったが、うちの娘も、ほらこの通り、岩登りを心底楽しんでいたようだ。

 岩登りをしたり、あとは子供たちの間で自然発生的に鬼ごっこが始まったり、その間に私自身もボルダリングなどを体験してみたのだが、いやはやすんごく難しい。戸高氏から「ここはこうやってこうやって」と解説を逐一受けるのだが、体をその通りに動かすのは難しい。思った通りに体を動かすのが難しいのはヴァイオリンでよく分かっているのだが、このボルダリング体験でもさらにその思いを強くした。自然と一体になって感じたままに思った通りに体を動かすということ。現段階では到底無理だ。訓練が必要だ、しかも尋常じゃない量の。
 ま、死ぬまでに会得できないんだろうなあと思いつつ、悪あがきをしてみようと思った次第。

 それはともかく。うまく伝えられないが、「素敵」だった。大らかな時間が素敵だったし、生き生きとした子供たちの姿が素敵だったし、何よりも戸高夫妻が「素敵」そのものだった。
 要するに書き足りないのだが、それはそれで自分の中に宝物として置いておこうと割り切ることにする(苦笑)。

 この場を借りて、お二人には声を大にして感謝の気持ちを伝えたい。
 ありがとうございました。
 また、是非参加させて頂こうと思っておりますので、よろしくお願いします。