BearLog PART2

暇な中年の独り言です

 エクサバイト

エクサバイト

エクサバイト

 私は服部真澄の「ディールメーカー」以来の読者である。「ディールメーカー」は割と業界関係者だったこともあり、楽しく読んだ。本作「エクサバイト」はどうだったか?
 舞台は近未来。人々は体にヴィジュアルユニットというものを埋め込んで、自分が目にするものをことごとく記録するようになっている。このビジュアルユニットを巡る話、とでも要約すればいいか。このビジュアルユニットは、本人が死んでしまった場合、遺族しか見れないような仕組みになっている(という設定なのだが)のだが、この個人のビジュアルユニットを預かり、100年後に公開し、壮大な歴史を構成する、という会社が出現し、一世を風靡するのだが、、、おおっとあんまり書くとネタバレになるので止めておくが、この話、この設定で敢えて近未来にしなくても良かったのではないかと思う。
 というのも、既にこういう「個人が管理する情報」がパブリックなものになってしまうということはGoogle等で既に具現化してしまっているからだ。このBlogだって何だって、それは本作のように歴史を構成するものとしてではなく、マーケティングの一つの手法として扱われるわけではあるが、本質的な問題はまったく同じだ。
 ということもこれあり、服部先生が、なぜこのような近未来的な設定の中で、既に現実化していることを書かなければならなかったのかは謎、である。というか意味のないことのように思えたのだが、如何であろう? 一読を……勧める気にはあまりならない。