BearLog PART2

暇な中年の独り言です

珍しく考えに考え抜いて買ったもの


 基本的には、モノを買うとき、どれにするかという決断をするのはかなり早い方だ。それに対して、妻はじっくり類似商品を調べてみたり、じっくり考えてから決断する方だ。娘は多分私に似て、「あれ!」みたいなかんじで、ほぼ迷いがない人だ。
 買い物については、即断即決を信条とする私ではあるが、この「セブンチェア」については色々と考えた。
 元々は、書斎のデスクチェアをどうしようか?というところに話は遡る。
 家を建てた時、予算の都合上(汗)、書斎のデスクチェアを買わずにきたのだった。まあ、家で机に座っている時間は極めて少ないし、読書だったらソファでもベッドに寝転がってでも出来てしまうし、娘のお勉強はダイニングテーブルだし、自分もちょっとしたパソコン仕事をやるのはダイニングテーブルで大丈夫、という環境が、デスクチェアを無理に買わなくてもいいかなあと思わせていた理由だった。
 でも、突然、「書斎があるんだからさ、それなりのデスクチェアが欲しいよな」と思ってしまったのである。デスクチェアだったら、やっぱりハーマン・ミラーだということで丸の内のショールームに行ったりしたわけだ。
 ハーマン・ミラーの丸の内のショールームでは、イームズからアーロンチェア等々、色々な椅子に座り倒してみたのだが、その中でもけっこう気に入ったのが、これ。

 ハーマン・ミラーものにしては、お値段もこなれていていいなあと思ったのだった。
 とはいうものの。
 即断即決を旨とする私ではあるが、家には妻もいるし娘もいる。さすがにまだ娘の意見を聞く必要はないとは思うが、妻の嫌いな家具を買うのもどうかなあと思うくらいの大人の分別はあったので、大量にカタログだけ持ち帰り、妻に相談することにした。
 妻が言うには、「う〜ん。これ目立つよ。やっぱりハーマン・ミラーだったら、飽きのこないイームズじゃない?」とのたまう。妻はもともと美術系の人なので、こういうものにはうるさいし、しっかりした考えを持っているし、確かに趣味はいい。
「でもさ、イームズのは高いんだよね」
「そうよね〜」
 ということで、話は一回終わる。で、私の椅子行脚が始まる訳だ。
 値段的にちょいと買いやすいものを考えていくと、うちの会社のオフィスにあるスチールケースもいいかなあと思い始めてきた。ちなみにこれ。 安くはないけど。でもイームズよりはこなれた値段だ。
 でもさ、会社の会議室にある椅子と自分の家でご対面したいかな?と思い、やめた。後は、値段だけ考えると、イームズのリプロダクト品。これには相当にぐらっときた。リプロでも選べば、それなりのクオリティのものもある、と聞くし。などとうだうだ考え続けて、何ヶ月か。
 ある休日、一人でふらりと行った新宿のコンランショップで、別に目新しくもないのだが、セブンチェアを見かけた。おお、セブンチェアか、座ってみるかと思い、座ってみた。
 私は、基本的にはセブンチェアってカフェ椅子だと思っていた。何の気なしに座ってみると、尻が椅子から離れたくないと言っているのだ笑 ほんとだよ。
 その瞬間、ひらめいた。
 これをデスクチェアにすればいいじゃん。
 即断即決を旨とする私ではあるが、それでもまだ買わなかった。やはり妻の意見を聞いてみなければ……と思い、いったん家に帰り、その日の夕食のときに妻に「セブンチェアはどう?」と聞いたら、「あ、いいかもね」と言う。
「色はどうする?」
「うん、お任せする」
 お任せだと?
 そんな。変な色買って、「え〜」と言われるのは嫌だしなあ。昔、Play comme des garconsで紫のハートちゃんのTシャツを買ったら、「え?紫なんだ」という微妙な反応をされたのをふと思い出す。とはいえ、まあいいか。
 で、時間があったときに、再度コンランショップに(そのときも妻と娘は何かの幼児で私一人だけだった)行ってみた。ラッカー仕上げ? それともナチュラルっぽい塗装がいい? 店員さんに色々と見せてもらっているうちに即断即決を旨とする私ではあるが、主旨替えをしたくなるくらい、迷い始めた。
「受注ベースになりますが、こんな色もありますよ」と言ってもってきてくれたのが、写真の色である。木目が見えるように黒を塗り、そして端っこの方はナチュラル仕上げになっている。う〜んと暫く考えたが、これが一番よいような気がしてきた。黒でもラッカー仕上げだとちょっとぬめっとするしチープに見えそうだし。白のラッカー仕上げだったら、我が家の内装を考えると、あまりに北欧北欧してしまいそうだし……。
 ということで、この色に決めたわけである。

 という風に、即断即決を旨とする私が珍しく時間をかけて考え買ったものなのである。
 それが長いリードタイムを終えて、今日我が家にやってきた。
 素直にうれしいものだ。