BearLog PART2

暇な中年の独り言です

 「ウルトラセブン 『狙われた街』」

ウルトラセブンシリーズの第八回。金城哲夫脚本、実相寺昭雄監督。あまりにも有名。
モロボシダンとメトロン星人が普通のアパートの畳の部屋でちゃぶ台をはさんで対峙するシーンや夕暮れの工場街での戦闘シーン等々、子供向け番組とは思えない大人びた演出に、後年見た大人達がカルト的な感情移入をしているため、その名声が高まっているのだと思う。
確かにカメラワークひとつをとっても、明らかに「子供向け」というターゲットから大きく逸脱しているし、戦闘シーンにしても、格闘技的な爽快感はほとんどない。夕日を背にしてジャンプをするウルトラセブンがいきなりストップモーション。格闘技的な連続性はまったくもって無視である。
実相寺の撮るウルトラマンシリーズは、「子供向け」という呪縛を楽しむかのように、その呪縛の範疇の「際」のあたりをきっちりねらい打ちしてくる。
表現は自由である。しかし、あまりに自由過ぎても、作り手のマスターベーションに終わってしまう。しかし、「子供向け」という呪縛(強い制約条件)がある中で、その際を狙って表現すると、完全に自由に作ったものよりも面白いものができたりする。
「エンターテインメント性」という呪縛も同じように機能すると思われる。実相寺はそのような呪縛を好むのだろう。だからこそ、子供向けウルトラマンシリーズや劣情を刺激するためだけに鑑賞されるアダルトビデオなども監督を、その境界線をこともなげに越えて撮り続けることができるのだと思う。その感覚は面白い。
呪縛あるところに新たな表現アリ、である。