BearLog PART2

暇な中年の独り言です

 業界再編

 今日、某N證券の方とお話する機会があり、今新聞紙上等々で騒がれている敵対的買収についてご高説を伺った。二本の資本市場で最大の勢力を誇るN證券が敵対的買収のアドバイザーになっただの何だのということがあって、その背景説明にご来社下さったわけである。
 N證券の基本的な立場は、お話を伺った限り、私が解釈している範囲内ではこういうことである。

  • 日本の産業全体のためになるディールならやるだろう。

  合理的に説明がついて、一企業の拡大のためというよりは産業全体によい影響があることが前提らしい。

  • 今までの取引の濃淡も重要な判断材料になるだろう。

  当然、対象企業が「親密か」「親密でないか」というのは大きな判断材料になる。

  • よって「敵対的買収」のアドバイザーになる、という可能性は今後ともある。

 ということのようだ。

 自分自身が今のポストで、今の会社を使って、敵対的買収を積極的に推進するかというと、今現段階では「NO」である。しかしながら、私個人としては敵対的買収を全否定しているわけではない。手段としてはあり得るという認識である。ただ、当然のごとく敵対的買収が成立する要件というのがあって、私なりに拙い頭で考えると、

  • 成熟産業で、ロールアップしていくことしか生きる道がない場合

 ということに限られるような気がする。私が所属しているようなIT業界なんかだと、業界内の再編という意味では敵対的買収は使いにくい気がする。業界内でのシェアの奪い合いという行動が主な戦術というよりは、まだまだ新しい分野が次々と出てきて、市場自体が急速な勢いで拡大しているからだ。そこでは「寡占」を狙って動いたとしても、一夜にしてテクノロジーの基盤ががらっと変わって、誰も知らなかったプレーヤーが脚光を浴びるようになることが往々にしてあるからだ。
 そういう意味で言うと、成熟産業で(製紙とか)敵対的買収が発動されるようになったというのは、日本産業のためにはよいことなのではないかと思う。昔だったら、某通産省なんかが、何となく、傾斜配分というかノブレスオブリージュというか、場当たり的にやっていたことではあるが、産業の中で奮闘するプレーヤーの側からそういう動きが出てくるようになったというのも世の中の必然なんだろう。しかも、その判断をTOBによって、「株主」に問うようになったというのは、まさに「資本市場」の最大の効能なわけで、日本も徐々に「市場」というものが「立ち上がって」きた、というような感慨にふけってしまう(苦笑)
 日本の産業構造を、最大の酢テークホルダーである株主に問うというのは無謀なことのように思うかもしれないが、案外正しい結論が出てくるような気がする。「「みんなの意見」は案外正しい」という本もあることだし。英語で言うと「Wisdom of crowds」である。

 それはそうと。
 ここしばらく、お盆的ゆるさの中、早めにオフィスを出て、晩ご飯を妻と一緒に恵比寿の「リコス・キッチン」で。妻のお気に入りのお店である。二人してお任せのコースを頼む。鯖や鰯といった青魚が沢山出てきて、創作料理としてはかなりいけているかんじである。メインは羊。グラスのワインを三杯呑みつぎ、ご機嫌になって帰宅した。

 仕事よりはこういう方がよい(苦笑)