BearLog PART2

暇な中年の独り言です

 ニュース・ジャンキー

 この前雑誌記者をしている友人にすすめられ、購入し、読了。
 面白い本ではあるが、残念ながら読み終わったときの後味はあまり良くない。
 父親から虐待され不幸な家族関係に悩み、かつ本物のコカイン・ジャンキーで、窃盗で重犯罪の判決を受け、自らのキャリアを誤魔化し、ダウ・ジョーンズに入り込み、カリフォルニアの電力危機やエンロン問題で辣腕を振るった、ジャーナリストの半生を振り返った書、である。
 そこにはヒロイズムもなく、幾ばくかの自己栄光化と自己韜晦と自己弁護と、妻への感謝の念と、ジャーナリズムや広報担当者への呪詛と、まあ色々な要素が闇鍋のようにごった煮になっていて、多分推測するに、作者自身も書きながら考えている気配が濃厚に伝わってきて、結論らしい結論なく、彼自身の現状が語られてぶつりと終わってしまうところ、それが後味の悪い最大の要因なのだと考える。
 彼自身の弱さや人間としてのいたらなさ、配慮のなさが自分自身の周囲の環境を悪化させ、蟻地獄のように精神的にも追いつめられているところを読むと、まさにビジネスマンに対しての反面教師としての効能は大と言えよう(苦笑)。私なども気を付けなければと思うことは多い。企業広報とジャーナリストのせめぎ合いなんてのは、私自身ほんのちょっとではあるが、経験したことでもあり、ふふん、そうだよね〜と思うところも多々。
 マーケティング的には「アメリカの光と影」として売りたいのだろうが、話はそこまでマクロ的にエスカレーションできてはいない。あくまでも一人のジャーナリストの懺悔録、であり、当時の関係者への感謝と呪詛にまみれた書、ととらえるべきである。
 一読の価値はあるが、後味は私にとっては悪かった。