渋谷O-eastにて、楽しみにしていたDCPRGのライブ。「フランツ・カフカのアメリカ」発売後のツアー。
ニューアルバムである「フランツ・カフカのアメリカ」については、毎日のようにiPodで聴いているのだが(この感想は後で詳細に書きたいと思うのだが)、さてさて、こっちの方にふったってことは、さてライブはどういう風になるのかな?と非常に興味津々で出向いたわけである。
端的に言ってしまえば、「カフカ」では踊れない、ということなのだ。「カフカ」ではよりマイルス色が濃くなっており、「アイアンマウンテン報告」や「構造と力」のようなファンク的な側面がだいぶ薄くなっているからだ。ポリリズミックなファンク色はかなり薄まって、むしろフリーキーなジャズ、という側面が非常に強調されている。このあたりは、菊地氏自身が「TOKION」」の特集で、インタビューに色々と答えているので、そちらを参照して下さい汗
ということで、非常にセットが注目されたのだが、アンコールの一曲を入れて三曲が古めの曲、具体的に言ってしまえば、アンコールは「Hey Joe」で、「Playmate at Hanoi」「Circle line」の三曲。それ以外は全て「カフカ」から、というセットだった。
「Hey Joe」は何とメンバーが担当楽器を入れ替えるという暴挙まで笑
それはともかく、聴きながら「カフカ」中心にしたのには、妙に納得、なるほどなあと思った。「踊らせる」という身体感覚は、ある種の忘却を伴う。つまりに批評性の放棄、の部分がどうしても出てくる。「踊らせる」という「機能」に音楽が奉仕してしまうことの限界?をすごく意地悪い形で、リスナーに示したいのかなあ?なんて勘ぐって、1人納得するわけです、はい。
私自身は、DCPRGのファンクネスに興味と快感を感じて単純にファンになったのだが、そこからさらに遠くへ行こうとしているのだなあと思いながら、ライブを楽しんだ。しかし、私は過去4回のDCPRGのライブを見ているのだが、今晩の演奏は出色の出来だった。特に「カフカ」の中に入っている「Foxtrot」の凄絶なまでの緊張感!これには痺れた。各メンバーが細い糸を手繰り寄せているかのような、薄氷を踏むかのような張りつめた空気、そしてそれに相反するかのような躍動感!身震いしそうだった。
そんな「Foxtrot」の後に「Playmate」と「Circle」である。もう素晴らしい、としか言いようがない。「Circle」では坪口氏がハンディなキーボードでソロをとるのだが、客席にキーボードを差し出したり、ジェイソン氏の頭にこすりつけてみたり……そりゃまあ大暴れだったのだ。このノリは何なんだろう?と思ったら。
アンコールで呼ばれて出てきて、恒例のMCで、「今日は重大発表があります。今日をもって、デートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンは解散します」との発言。
なるほどなあと思ったり。ファンの一方的で勝手な喪失感を感じてしまったり。
ピークに自らの手で活動を止めてしまう、というのは菊地氏自身のある種の我が侭?というより美学なんだろうなあとも思う。
DCPRGの新譜はもう聴けないと思うと、それなりに感慨深いが、彼の次なる一手に注目したい。はて、何をしてくれるのか?
そして、DCPRGの解散によって、私がここしばらく考えていることについて、ある意味、背中を押されてしまった、ということも蛇足ながら付け加えておきたい笑
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