BearLog PART2

暇な中年の独り言です

 「歴史の終わり」を超えて

「歴史の終わり」を超えて (中公文庫)

「歴史の終わり」を超えて (中公文庫)

 何をいまさらと言うなかれ(汗)
 10年以上前に行われた浅田彰の対談集。10数年前とはいうものの、当時も今も問題は何一つ変わっていないということを再確認。サイードジジェクとの対談は非常に面白いし、やや馴れ合いの雰囲気もなくはない、柄谷行人との対談も、自らの思考の甘さをチェックしてくれたという意味では、いい刺激を受けた。
 とはいえ。
 ファシリテーターとしての浅田彰の能力は非常に高い気がするが、それはあくまでもファシリテーターであって、思想家としての自我をもっと出して欲しかったと思うのは、私だけ?
 歴史の終わりは今も続いている。ということを自戒の念もこめて、頭の片隅にとどめよう。「知」は自らをマージナルな立場へと追いやり、その緊張感の中で、見えざるものを見ることなんだと思う。語りえぬものの前で沈黙しながらも、その果てを思考するのが、思想や哲学なんだろう、って当たり前のことを当代きっての知識人同士の会話から、思い出すことになった。まだまだ自分は甘い。
 とにかく、色々と考えるところが多かったので、それについての論考は別途まとめてみたい。いつになるかは分からないけど(苦笑)