BearLog PART2

暇な中年の独り言です

 マンション理事会、野宮真貴リサイタル

 午前中、マンションの理事会。2年間勤めてきた(と言っても何もしていないに等しい……)、マンション管理組合理事長の職も4月でおしまい。任期切れ。他の理事の方におんぶに抱っこで、何一つできない理事長だった。本当に申し訳ありません。大規模修繕も始まり、なかなか難しい時期にきているわけで、次期理事会の方々も大変だとは思いますが、頑張って下さい。
 組合の総会は4月15日にあるのだが、不肖クマおたくはこの日レースと重なっており、最後の一番重要な仕事である、総会の議長という仕事も、何と放棄してしまうという……本当に最初から最後までダメな理事長だったということである(大汗) 本当に申し訳ありませんです……。
 さて、それはともかく。
 午後。
 妻が大ファンである野宮真貴女史のリサイタルが青山スパイラルホールである。今日はその初日。
 青山通りアンデルセンで軽く食事をしてから(ビーフシチューが意外と美味しかったのはいい意味で予想外でしたが)、いざスパイラルホールへ。ロビーでシャンパンを一杯ひっかけて、野宮麻貴ファンならではのオシャレピープルをウォッチング。私は気付かなかったが、妻によれば夏木マリ湯山玲子がいた、そうな。まあ。
 会場に入ると妻はさっそく映像系の知り合いがいたようで、挨拶をしている。「主人です」と言って紹介されるが、実感がわかない(笑) 我が妻が「主人」等という言い方をしたのが、妙におかしかったのだ。だって、あなた、「主人」ですよ。別に「主」でも何でもないですから、私は。一応稼ぎはしているが、それも心許ないわけだし……。まあ、夫婦揃って生活感のない人間なもので、すみません、というかんじだ。
 7時に開演。
 黒子というかローディー風の若者が出てきて、客席に向かってシャッターを切る。シャッターを切るとストロボがたかれる。そうこうするうちに「野宮さん、入ります!」といういかにも現場っぽい声がして、女史が登場する。
 お恥ずかしい話だが、実は私、野宮女史、生で見るのは初めてなのだ。私の中では甲田ミヤコか野宮真貴、なのだが、そうそう大阪でdip in the poolを見たのは(あれば心斎橋のクラブクワトロだった)何年前だったかなあと思いを飛ばす(苦笑)
 しかし、野宮女史、スタイルはいいし、実際のお年を知らんが、とにかく若い。手足の長さは羨ましい限り、である。周りのスタッフは、こんな人にだったら、「あの服どう?」とか言って、ステージ衣装選ぶだけでももう楽しくて仕方ないだろうなあなどと、ハネた後で話をしたが、それくらい、素材としてよいということだし、衣装は楽しかった。途中のMCで彼女自身が「シアトリカルなものがあってコンサート」(確かそんな台詞だった)ということを言っていたが、衣装に音楽、微妙にそこはかと匂うストーリー、等々、色々な意味で楽しめる。エンターテインメントとしては、オシャレピープルでもない私も、非常に楽しめた。唯一もったいないなあと思ったのは、会場の関係か、予算?の関係か、バックがテープだったことだ。これ、生のバンドでやってくれたらなァと思うのは私だけ、だったのだろうか? やはり艶めかしい音は生じゃないといかんと思うのだ。
 ゲストは菊地成孔。サックスで参加かと思いきや、歌だった。正直に言うと、私はあまり菊地氏の歌は馴染めない。やはりDCPRGの指揮だのサックスだのをしていて欲しい。ま、それは私の趣味でしかないのだが……。
 それはともかく。
 見ていてふと思ったのだが、野宮女史、あんなにスタイルもいいし、超ミニなんかもはいたりするのに、男性目線に媚びるようなセクシュアリティをまったくもって感じない。
 どんな衣装を着ていても、世の中的には「挑発」的と思えるポージングをしても、驚くほどセクシュアリティが消えている。意図的に抹消したとしか思えない。それが新鮮だった。
 男性目線に媚びるようなセクシュアリティというのは、あくまでも即物的なものであり、機能的なものであり、そこには批評性は何ら介在しない。しかし、セクシュアリティを抹消してしまうと、機能的な媚びがある種の奇形であること、機能的なものじたいが持つ限界等々、そういったような単純なセクシュアリティが持っている男性共通の部分、こう何というのだろうな、エロを無意識に探している自分自身のアホさとでも言えばいいのか、まあそいつに気付くという巧妙な仕掛けになっていた、少なくとも私に関しては、だが(苦笑)
 それはある意味特徴のない彼女の声かもしれないし、コケティッシュでありながら、すんでのところで機能的なエロさを裏切るロマンチカの振り付けかもしれないし、あらゆる曲のサンプルで構成されるようなテイストの楽曲であったり、とか、まあそういうもの全部から醸し出される、臭い言葉だが、「エスプリ」みたいなもんなんだろう、なんて思った。

 何て小難しいことを言ってみましたが、総合エンターテインメントとしては楽しいステージです。シリーズ化するみたいなこともMCでちらと言っていたから、毎年来てみようかな、と思わせるものがある。来て、そして自分の持つエロさを嘲笑されて、マゾヒスティックな快感に浸りつつ、オシャレピープルの一員であるかのようなスノッブな優越感を感じるために。
 それもまたいいと思うんだな。