BearLog PART2

暇な中年の独り言です

 CFOのスペック

 仲間内でCFOのスペックについて、どういうわけか私が解説する機会が何度かあった。
 銀行を辞めてから、CFO的な仕事を長くしてきた者の実感として(=自分ができている/いないは別にして)、CFOのスペックというものは、こんな風にまとめられるのではないか、と思っており、そのときもそんな説明をした。今現在での私の考えということで、何の参考にもならないと思うけど、備忘録がわりにここにエントリしておく。
圧倒的なバランス感覚
 CFOの役割の唯一にして最大のものは、各ステークホルダーの「利害調整」というものである。この「利害調整」というのが曲者で、目先の利益を重視しようとすると、目先の管理コストを落としたくなったり、監査法人にいい顔しようとして、大事なビジネスの芽を摘み取ってしまったり……とにかく、利害の異なるステークホルダーの間の利害調整をするにあたっては、矛盾する二つの要素を、「どこで」「どのように」バランスさせるのか、という「バランス感覚」が必要不可欠になるし、自らの「バランス感覚」に基づいた意思決定については、誰に対しても、そこに到った理由をきちんと説明できなければならないし、その意思決定に対しては、ある程度強い態度をとりつつ、相手を怒らせないような形で収束させれる手練手管を必要とするのは言うまでもない。
 ただ、この「バランス感覚」じたい、自らの「価値観」に根付くもので、この「価値観」なき者に、「C××」職を務める権利はないと思う。「C××」職は事務官僚ではなく、企業家なのだ。
豊穣なコミュニケーション能力
 前項にもからむことではあるのだが、利害の異なるステークホルダーに対して、説得、もしくは説明をしていくということは、コミュニケーション能力においても非常に高度なものが求められる。アマチュア投資家、プロフェッショナル投資家、債権者、社員、幹部、販売先、仕入先、監査法人等々、これらの人々はそれぞれ異なる言語を持ち、異なる価値観で動き、話している。要するに違う言語を喋っているのと同じことだ。これらの利益集団の間に立ち、それぞれの言語を適宜翻訳しながら、全てのステークホルダーに対して、説明だの説得だのをできる能力も必要不可欠。これは引き出しを多く持ち(広く浅くでかまわない)、どの利益集団とも会話をきちんとできるということになる。
 まあこの二つがCFOなる職には求められていると言えよう。それ以外にも、会計や税務や法務、その他諸々、テクニカルなところについての最低限の知識が必要なのはいうまでもないが、それは各分野のプロフェッショナルのお力を借りることによって多少は補うことができるはずだ。
 あくまでも、自分ができていたかどうかは棚に上げて言うと、こんなかんじになる。