BearLog PART2

暇な中年の独り言です

12月24日 いつも通りのヴィム・ヴェンダースと娘のいないクリスマスイブ

 昨日就寝時間が遅かったので起きるのも遅かったがジムへ行き、筋トレ、そして4kmほどトレッドミルを走り、忘年会疲れからのリカバリーをはかる。果たして、多少なるともうまく言ったような気もする。

 ヴィム・ヴェンダースは好きなのだ。

 「ベルリン天使の歌」「アメリカの友人」「パリ、テキサス」「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」やピナ・バウシュのドキュメンタリー等々。けっこうすきかも。いやいやかなり、と言うべきか。

 ということで、「Perfect days」を見に行くことにした。

www.perfectdays-movie.jp

 ヴェンダースが作っているのだから、ヴェンダース風とかじゃなくてヴェンダースそのものなのだが、過去作品を愛する自分に「これこそがヴェンダースなのだ」という確信を持たせてくれるような、そんな作品だったので、うれしくなってしまった。

 とはいうものの、ヴェンダース小津安二郎を敬愛していることはよく知られている話ではなるが、小津の映画と決定的に違うのは役者の「身振り」だと気付いてしまった。

 小津の映画はアングルがどうのこうの、といろいろうんちく的な話はあるんだろうけど、役者の身のこなしが圧倒的に美しいのだ。正座からすっと立つとか、箒をかける、服をたたむ、といった日常のひとつひとつをこなしていく役者の端正な身のこなしの何と美しいことよ! 残念ながらこの映画の中の役者はそこまでいっていないように思うのだ(だからといって、それはこの映画の価値を貶めるものではない、時代も変われば人々の身振りも生活習慣も変わるだけで、それは今の今の日本人のリアリティなんだとうと思う。そこで変な懐古主義に陥ることのほうが今の時代では危険だと思う)。

 あの小津の映画の中の役者の動きの美しさは何なのだろうかと思いつつ、この作品で描かれている単調でありながらも独特の語り口に支えられたリズムに酔う2時間となった。これは至福。言葉悪く言うと「ベルリン天使の歌」「パリ、テキサス」を足して二で割ってそこに「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」的な音楽的なスパイス(決してキューバ音楽が鳴るわけではない。音楽の使い方的な話だ)をまぶしたような映画とでも言うべきか。おっとそう言ってしまうとすげえ誤解を招きそうだが、この言葉を自分はこの作品を貶めるために言っているわけではない。自分としては最大限の賛辞なのである。

 という、「怪物」以来のなかなかよき映画体験をした後で帰宅。

 夕方までその余韻にひたりつつ、例の「Pluto」をネトフリで見る。やっと完走。まあ面白かったけど、そこから汲み取れるメッセージはちょっと新味なく陳腐ではあるが、作品としては面白かった。なかなか。

 今日は娘がお友達とディズニーリゾートに行っており、帰りが遅くなるだろうということで、N響の第九に行ってきた妻と地元の駅で待ち合わせて、夫婦ふたりでこれもまた地元の餃子屋で一杯。チェーン店だけど気軽に行くにはありがたい。妻に向かって、見てきたばかりの「Perfect days」の話を滔々としてしまう。まあいいか。クリスマスイブにふさわしいかどうかは知らんけど。www.dandadan.jp

 その後二人で床暖かけたタイルの床に寝っ転がって、NHK日曜美術館の「ガウディ」を見て和む。

 そう言えばうちの娘はガウディと同じ誕生日だった。