BearLog PART2

暇な中年の独り言です

2月11日 三連休中日は老いについて考えながらも中華を年甲斐もなく大量に食べる日、となる

 朝一番ジム。朝食を食べてから、昨日計画した通りアップリンク吉祥寺でビクトル・エリセの30年ぶりの新作「瞳をとじて」を見る。ティーザーはこちら。


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 自分としては「ミツバチのささやき」も「エル・スール」も両方ともかなり感銘を受けたので、この新作についても期待するところ大であった。果たしてどうだったかといえば、期待通りのよい映画だったということになる。色々と考えさせることの多い映画で、冒頭のショットからヤヌスの像が出てくるあたりその後の癖の強い展開が相当に予想されるというものだ。

 物語自体は元映画監督が主人公というか語り手で、彼が昔撮っていた映画に出演した俳優が突然失踪したというところが物語のスタート。そしてその失踪の謎を追うテレビ番組に協力する元監督、その取材の過程でかつての恋人、失踪した俳優の娘(この女優さんが「ミツバチのささやき」のあの可愛い少女だったとは驚きと言えば驚き)等々が入り乱れて、俳優の失踪に近づいたり離れていったり、関係ないエピソードが入ってきたり等々、過去2本の作品の集大成というか、なんというか、盛りだくさんの情報量になっている。

 盛りだくさんの情報量であるにかかわらず、画面は基本的には登場人物の会話を丁寧に追っていく作りであり、その会話が物語らしきものを駆動させていくことになる。映像は映像で様々な美しさを見せてくれるもの、過去のエリセ作品よりは会話の比重が高いような気がするのは気のせいか。

失踪した俳優は自分の老いと向き合えなかったのではないか等々、印象的なセリフがあちこちに散りばめられるのもなかなかいいし、ゴダールと見紛うばかりの映画的引用に縁取られ、マニアにはたまらないだろうなあ的なかんじもある。さはさりながら、テーマは一言「老いる」ということだ。

 自分も還暦を前にして「老いる」ということと正面切って向き合うことを避けてきたようなところがある。自分がピークアウトしていく中で成長する娘に自分は何を託せばいいのかわからなくなってしまったり、老後への経済的な不安から気が滅入ってしまったり、自他ともに認めるご陽氣な私でさえ、老いていく自分を耐えられない存在として持て余しているところもあった。

 ある意味過剰な生(性?)を持つが故に老化していくことに耐えられないというのは多かれ少なかれ誰でも抱えている悩みなのではないだろうか。自分はここ最近、昔の自分のポジティブさ(根拠ない自信、人生に対する不遜なまでの傲慢さ)を取り返そうと思って、とにかく何事も気楽に考えることにしている。それこそ、「ちいかわ」の登場人物ハチワレくんが「なんとかなれーっ」と叫ぶようなかんじ。そしてハチワレくんは穴から脱出できたり怪物から身を守ったり倒したりしてきたのだから、自分もそうなるほずだ、と繰り返し反復して思い込むようにして、ある意味「老いる」ことを忘却することによって「老い」を受け入れようとしている。そしてそれは成功しつつあるように思える。

 なんていう自分の状況だから、この映画を見て本当に身につまされた。人は老いる。しかしそれを簡単に受け入れることはできない。人は追い風参考の好記録を忘れられるものではないからだ。

 ・・・などということを考えながらぼんやりと観た。考えさせられるラストがなんとも言えず、我々は唐突に投げ出されて自らの老後と向き合うことを余儀なくされるのだ。

 という感慨に浸りながら帰宅、昼食のキンパを食べてから、能の稽古。面をつけてみっちりやる。なかなか。

 久しぶりにみんなで外食するかということになり、娘の要望から吉祥寺の銀座アスターへ繰り出す。

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 アワビやフカヒレ、それに12年もの紹興酒なんて頼んだからすごくお値段ははってしまったが、たまにはいいだろう。家族で食事に行くなんて考えてみれば有限回しかないのだから。ま、お金も有限だけどね泣 美味しいからよしとしよう。少し食べ過ぎたのも事実。

 帰り道、妻は先に帰ったが、娘と私はヨドバシカメラにより、ダイソーによる。ヨドバシでは、イモータルジャスティスのHG 1/144をポイントで購入。なんか得した気分。ふふふ。これも厳島終わったら組み立てようっと。

 明日は妻も娘もいないようだから、一人また映画か美術館にでも行こうかな。映画は「哀れなるものたち」か「Stop making sense(4Kレストア版)」のどっちか。それかICCでやっている「坂本龍一トリビュート展」に行くか。

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 まあゆっくり考えるかなw なかなかいい三連休。それもこれもやるべきことを早めに済ませているからこそ(掃除とか)。良いサイクルだから続けていかないとなーといきなり俗なことを考えたりする。