BearLog PART2

暇な中年の独り言です

ONJO

 ONJQ大友良英ニュージャズ・クインテット)は一度ピットインで聴いているとはいえ、大友良英ニュージャズ・オーケストラのライブを聴くのは初めて。吉祥寺スターパインズカフェは丁度オープンした頃に一度だけ行ったことがあるのだが、まさにONJOが呼ばれたのも、どうやらその10周年記念イベント的なもの、らしい。
 さて、音の方だが、ディストーションをばりばりにかけた爆音から、サインウェーブやノイズが空間を静かに埋めていく静謐な曲まで、なかなかバラエティに富んでいて、なかなか楽しめた。
 基本的に私は、リズムがないと直ぐに飽きてしまう質の人なのだが、この前、「INLAND EMPIRE」でノイジーな効果音などを聴いたときにちょっとぐっとくるものもあって、それは今日どういうことか分かってきた。
 私は、基本的にリズムに酔う質だというのは前に述べた通りなのだが、それはある種の「時間感覚」の問題なのではないかと思ったのだ。つまり、「Inland Empire」で「音」の使い方にぐっときてしまったというのは、リズムのかわりに「映像」という時間の尺度がついていたためなのではないかと思ったのだ。多言を要しないと思うが、リズムはひとつの時間認識のあり方である。
 だから今回のONJOでは、自分自身で何らかの時間軸を体内に意識して聴くということをやってみた。勿論、時折、はっきりしたリズムが出てくる局面もあるので、そういうときはそのリズムそのままで聴くのだが。頭の中に思い描いたのは、別に特定の映像とかというものもなく、何だか自分が井の頭公園を走っている光景だったり、昔観た映画の一シーンだったりとか、そういうのを思い浮かべたら、今まで無味乾燥に思えた抽象的な音の流れが自分の中で整理されてきて、なかなか楽しかった。
 「見上げてごらん、夜の星を」からNHKのドラマ「鬼太郎が見た戦争」へ提供した楽曲まで、爆音と静謐な音のコントラスト、「音」そのものに対する意識を否応なしに高められたライブだった。