BearLog PART2

暇な中年の独り言です

 最後の日は中央線に乗って

 午前中、修理に出していたアルファが戻ってきた。ポロも楽しい車だったが、やっぱりアルファだろう。ガソリンがすっからかんに近いから、明日満腹にしてやらなくては……。
 結局今日は最後の日になった。3年間と数ヶ月、勤めた会社ともお別れだ。気が楽になる部分とやり切れずに悔いが残るところ、まあそこはまだら模様だ。何人かの同僚に見送られてエレベーターに乗った。私の場合、一度友達になってしまえば、死ぬまで友達だ。どうせ、どこかで会うだろう仲間達だから、淋しくはない。でも、ちょっとの間。さようなら。だ。フィリップ・マーロウによれば、こんなときフランス人はいいことを言うのだそうだ。「さよならを言うのは少しの間死ぬことだ」と。まあ、そこまできざなものでもないな。もっと気安くずっこけたかんじ。だろう。それは私にぴったりだ。ごきげんよう
 帰り道。
 ちょっと遠回りになるのだが、総武線と中央線で、吉祥寺経由で帰宅した。
 中央線は思い出深い路線だ。大学の時、吉祥寺に出てから国分寺や国立まで大学に通うべく乗っていった。中央線に乗って中野にバイトに行ったし、歩けるはずの荻窪や阿佐ヶ谷にも、中央線に乗って、行った。
 いい思い出も悪い思い出も全部一緒で、ごちゃごちゃの汚れきった過去の中に埋もれているとはいえ、中野から吉祥寺のあたり、高架の上から見下ろすかんじの低層住宅群が、どういうわけか毎回毎回私の心を和ませてくれる。特に今日はしみた。
 出がけに降っていた雨も止み、夏にしてはやさしい光が雲の合間からゆっくりと降りてくる。夕焼けというには迫力がないけれど、その力のなさが、自分の将来を暗示しているようで笑えた。力はないかもしれないが、そこには光が満ちている。ここよりはいいだろう。今よりは明日がいいだろう。大学を卒業したとき、女性にふられたとき、そう、別に中央線はいつでも私と一緒にいるのだ。
 だから、今日は中央線で帰宅した。ただそれだけの話です。失礼しました。