BearLog PART2

暇な中年の独り言です

「神」降臨ではあったのだが……

 上記のタイトルでどういう内容かが分かってしまうと思うのだが笑、まあそれがお嫌でなければ是非読んでやって下さい苦笑
 スライ・ストーンは、ある意味、JBやジョージ・クリントン同様、私のアイドルである。「神」と言ってもいいくらい、一時期は入れ込んでいた。「If you want me to stay」なんて、本当に何と言っていいのか分からないくらい好きだし、それ意外にも色々と思い出深い曲は多い。だからこそ、現在老境にあるスライにどうしても期待してしまうファン心理というものがあるのは仕方ない。その姿がどんなに衰えていようとも、一度は見たくなるのはまさにファン心理そのもの、だ。
 ということで、足を運んだのだ。
 過去、ジョージ・クリントンのライブを私は何度か見ているが、ジョージの場合は、自分の衰えを隠して余りあるすげえバックを連れてきていたから、あんまり彼自身の衰えというのは気にならなかった。それにジョージ・クリントンの場合は、どちらかというとコンセプトメーカーだから、彼はその場にいてくれればよい、という部分もある。
 スライにしても、ある意味、ジョージ・クリントンと同じようなことを、私は期待していた。オリジナルメンバーは何人か残っているようだが、基本的には若い生きの良いバックを従え、ただそこに「いて」くれればいい。「神」として、メンバーとオーディエンス双方にそのオーラを浴びせるだけでいい……そう思っていた。
 とはいうものの。
 まずはスライ以外のメンバーがステージに出てきて、「Dance to the music」や「Everyday people」などを演奏。ふむふむ、と思う。アレンジはCDの録音に近い形にはなっている。意図的にそうしているのか、それとも仕方なくそうしているのかは、ちょっと不明。逆に言えば、思想なく消去法的に昔っぽいアレンジのままで出ている……そんなかんじもなきにしもあらず。
 そしてやっとのことできんきらのスパンコールのジャケットを身にまとった「神」がやってきた。神は神なりにオーラを出しているが、ステージ中央のキーボードの前に座り、おもむろに初めた曲が「Don't call meなんちゃら」と言う比較的重めのメッセージソング。ほ〜、こんなのやるんだ、と思いつつ、周囲を見回すと、この曲の重めのビートに乗りきれず、総立ちの観客はやや動きを止めている。そりゃそうだろう。このまま「There's a riot going on」の曲をばりばりにやったら、オーディエンスはどうするんだろう?でもそれくらいやって欲しいなあと期待もふくらむ笑
 次に(記憶があやふやなのだが)名曲「Family affair」や、それこそ「If you〜」もやるにはやった。「I wanna take you higher」もやった。
 最初のうちはあまり違和感なく聴いていたのだが、徐々に「あれ?」という気分になってきた。
 そもそもスライの魅力は、複雑さと単純さが絶妙のバランスでミックスされた強靱ながらも繊細なリズムだったはずなのだが、そのリズムが、ある意味今風と言えば今風なのかもしれないが、あまりにも単純化されすぎており、ヘンに昔ながらのアレンジでやっている分、あまりにもちぐはぐで、ちょっと聴いていられない気分になってしまったのだ。リズムを変えるならば、昔とは異なって、全部が全部をきちんと今風に翻訳しなければならなかったと思うのだ。それがどうしても中途半端になっている。そこに衰えた「神」がのっても、出てくるのは……痛い結果にしかならないような気がする。
 例えば、あり得ないかもしれないが、当代随一のマーカス・ミラーなんかがファミリーストーンのバンマスだったらろうだろう、なんてことまで思ってしまった不埒な私をお許し下さいってかんじ、であった。
 ちょっと哀しいかんじであった。
 とはいうものの、曲のリズムを刻むスライの脚だけは躍動感もあり、何だか、彼の「脚」に神の神だるゆえんを少しだけ感じた。
 まあ個人的な見解ではありますが、少々哀しい気分になりました。

暴動(紙ジャケット仕様)【2012年1月23日・再プレス盤】

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FRESH 輪廻(紙ジャケット仕様)

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