BearLog PART2

暇な中年の独り言です

やってきた(中年バイオリン戦記1)

 昨日オーダーしてきたバイオリンを今日引取りに行った。

 昨日、娘のバイオリンを買ったベルク・バイオリン工房さんへ行ったのだった。扉を開けておもむろになかに入る。娘のバイオリンの修理や問い合わせ等々でもう何度も来ているのだが、自分のものを買うとなると、ちょっと気分が違う。どういったらいいのだろう、軽い緊張感とでも言えばいいのだろうか。まあいい。ぶつぶつ言っていても始まらない。扉を開けて中に入る。
「ごめん下さい〜」
 中には二人。年取った人と若い人。
「バイオリンが欲しいんですけど。まったくの初心者なんですが、今度習い始めるもので」
「はい」
「まずはいくつか準備しますから、音を出してみてください」
 と言われ、しばし座って待つことになった。


 準備してもらったバイオリンは三つ。それぞれに値段が違うらしい。まずは三つを勝手にギコギコ鳴らしてみる。娘のバイオリンの練習につき合っているときに見よう見まねで何とか弾ける?ようになった「キラキラ星」が私の唯一のレパートリーだ(笑)。まずはひとつめ。弦の上、弓をかるく滑らせてみると思ったよりもきれいな音が出た。あくまでも私が「思ったよりも」というだけで、絶対的な基準で考えたら、それはきっと汚い音に違いない。それはともかく、E線とA線でキラキラ星を弾いてみる。とてもキラキラというよりは、ギコギコ星というかんじではある(苦笑
 あとは解放弦を適当にかき鳴らしてみる。今までは娘の子供用のものしかいじったことがなかったのだが、フルサイズのものはやはり、当たり前だが、音の響き方が違う。自分の体全体が楽器になってしまったような、そう自分の体全体が鳴っているような不思議な感触。この感触があまりにも気持ちいいのだ。そもそもアンプで音を出すようなエレキものでは多分味わうことのない感覚なのではなかろうか。
 さてその次。一番最初に弾いたものよりも音がきんきんと響くし、何やらちょっと弾きにくい。どうしてだろう、どうもしっくりこない。
 そして最後の三つ目。これは音の方は最初に弾いたもののようないくぶんマイルドな響きではあったが、最初のものに比較するとやはり弾きにくい。
「どうでしょう? お値段をお伝えします」
 と言って、お店の人が入ってきた。聞いてみると、一番最初に弾いたものが一番高く、三番目に弾いたものが二番目に高く、一番安いのは二番目に弾いたものだった。とはいえ、価格差は微々たるものでは会ったので、一番しっくりきた一番最初に弾いた一番高価なものにすることにした。それでも当初予算よりもかなりいいかんじで仕上がったのは事実である。

 そして、今日、引き取りに行ったわけである。西荻窪ヴィレッジバンガードダイナーで地理バーガーを食べ、銀行でキャッシュをおろし、ベルクさんへ喜びいさんで向かった。そして、相棒は我が家へやって来たのである。

 娘と一緒に、今彼女が練習している曲を一緒に弾いてみる(もちろん四歳の初心者が弾けるようなものではあるが)。音が合うと予想外に気持ちが良い。娘と一緒に合奏するのも楽しそうだし、とにかくある程度のレベルまで早く上達したいと思ったのだった。とはいえ、もうアラフィフの私のこと、そんなに順調に上達するとも思えない。短期を起こさずに気長に相棒とつき合っていくことにしようと思う。そうすれば、きっと一緒の友人になれるのではないだろうか。

 よろしくね、相棒くん。そうそう、君にも名前を付けてあげなくちゃな(笑

(つづく)