BearLog PART2

暇な中年の独り言です

対面の販売の尽きせぬ魔力

 ここ最近、5年間くらい使い続けてきたヴァイオリンケースがちょっとボロボロになってきていて、新しいのが欲しいなあと漠然と思ってきた。
 添加のアマゾン様でヴァイオリンケースをだらだらと物色してきた。アマゾン様はやはり大したもので、色々なものがある。価格帯で言うと2,3万円程度から10万円超えのものまで、それは色々。
 まあ、今使っているケースもまだまだ騙し騙し使おうと思えば使えないわけではない。とはいうものの、あちこちがほつれてきているので、ジッパーや留め金にひっかかって使いにくいと言えば使いにくい。新しいケースを買えばモチベーションも上がるなあと漠然と思い始めて数ヶ月経った。ここ数ヶ月は色々と忙しいこともあって、練習量も今までよりは落ち気味だったし、自身のヴァイオリン修練という意味では沈滞ムードが漂っていたのも事実であった。
 そんな中、大型連休突入前の昨日金曜日。夕方、次の予定まで微妙に間が空いているのをいいことに、どういうわけか銀座の山野楽器に行こうと思い立った。銀座の山野楽器でヴァイオリンケースを見るだけ見てみようと思ったからだ。大型連休前のイベントとしては打ってつけ、最適だろう。だらだらと東京駅の八重洲口から、時間があったのをいいことに、お散歩がてら銀座四丁目交差点まで歩く。だらだら散歩するにはいい季節だった。東京駅丸の内口前の広場がすっかり完成していて、ちょっとビックリした。東京ニッポンとは思えないほど広々としていて、なかなかいい感じである。
 今や、丸の内と銀座はゆるく接続しているような感じになっていて、行く途中途中で、何となく気になるブランド物の路面店があったりする。かなり色々なお店があって飽きないと言えば飽きない。銀座的商業地がだらだらとスプロールして丸の内に進出してきている。二つの街がゆる〜くつながっている感じが何だか面白い。
 山野楽器に着くと一直線にヴァイオリン売場へ急ぐ。
 楽器売場は本当に危険だ。見ていると何でも欲しくなる。肩当て一つも新しいものを買うと、何か上手くなるような……キがしてしまう。ショーケースの中に鎮座ましましているヴァイオリンたちを眺めていると若いお姉さんが近付いてきた。「何かお探しのものでも?」
「ケースを新調しようと思っているんです」と私は思わず言ってしまう。いつもはガードが固い私としては、「いえ大丈夫です」という一言がすっと出てくる筈だったのだが、お姉さんが丸メガネで愛嬌のある感じがしたのにほだされたか、思わず自分のニーズを素直に吐露してしまう。しかも、「オススメのケースは何ですか?」なんてことまで言ってしまったわけである笑。
 お姉さんはカーボンマックというメーカーを薦めてきた。カーボンマックというのは、どうも中国のメーカーらしい。今やヴァイオリンケースでは中国製が主流なのだと言う。確かに。アマゾンで調べたときもそうだった。しかし、山野楽器のお姉さんに言われるのとネット経由で流入してくる情報は何となく手触り感が違う気もする。
 カーボンマックというのはこんなものである。

 要するにカーボン製の軽量のケースである。値段的にはちょっと予算オーバーである。
「他にはどんなのがあるんですか?」
 と、ハードシェル型のものをいくつも出してきてもらって、重さや大きさ、それに中のしつらえなどを入念?にチェックしてみる。お姉さんが薦めてくれたように、色々と見ていると、カーボンマックというのが一番いいような気がしてきたから不思議だ。別にその場で買う気もなかったのだが、いつかは買わなければならないものなんだし、せっかくの機会なんだから……というところで、思わずワインレッド色のカーボンマックのヴァイオリンケースを買ってしまったわけであった。
 人が人と接することによる、何かこう、売買の際から滲み出てくるような魔力みたいなものが、多分私の背中を押したのではないかと思う。多分、アマゾンではこうはならなかったような気がする。だからと言って、アマゾンみたいなECより対面販売が優れているという気は毛頭ない。どちらにもいいところと悪いところが共存していて、どちらか一つが生き残るのだという安易な結論に与する気もない。
 ただ、ここでだらだらと書き殴ってきて言いたかったことは、ネットにはない人と人との間に生まれる独特の機微のような魔力はある瞬間においては、消費者の購買を強制する魔力のようなもの、になるのではないかということだけである。
 別に落ちはない。
 スミマセン。