BearLog PART2

暇な中年の独り言です

 佐渡ロングライド 本番

 朝3時45分くらいに起床。朝食は昨日コンビニで買いおきしてあったオニギリ。好物である魚肉ソーセージも買ってあったのだが、あまり食欲がなく食べずに終わる。車でスタート地点まで移動。
 昨日の心配は杞憂にならず、むしろ雨がしとしとしとしと降っていた。
(関係ないけど、しとしとしとしと死都死都……ってのは筒井康隆「敵」の最後の方で出てきたな。おっとどうでもいい話)
 ちなみに言い忘れていたのだが、昨日、新潟からフェリーで辿り着いたのが、両津という港。そう言えば、言い忘れていたが、フェリーの中では、佐渡の人形劇(浄瑠璃みたいなもんな)を見た。那須与一の母親の話、であり、案外楽しく見てしまった。そうそう、よく知らなかったのだが、佐渡は芸能の島らしく、薪能があったり、和太鼓集団がいたり、とそういうところも面白そうだった。
 閑話休題
 で、スタート地点である相川に到着したのが午前5時30分くらい。受付を済ませて、スタート地点に向かった……のだが、スタートまでけっこうな時間、待たされたのだが、あまりに寒くて歯の根が合わなかったりした。雨は小止みにはなっていたので、我々二人は少し元気になった。この時点で、友人と私は、この後我々に降りかかる悲劇をまったく知らなかったわけである笑
 そうこうするうちにスタート。12人ごと、10秒おきにスタート、一列縦隊で走ってくれと言われるが、基本的に佐渡の道は空いており、車の運転手の方々も理解があるようで、我々自転車をパスするときは、大きく間をあけてくれ、車がすぐ脇をびゅんびゅん通り抜けていくようなストレスは全く感じることがなかった。それに道路も案外きれいで、都内にありがちな、金属片だのガラス片だのがなく、パンクのリスクも少なかったような気がする。
 基本的にこのイベントは、道路規制なしの状況で行われたのだが、210kmを走り抜けるにあたって、私がひっかかった信号は、(私の記憶が正しければ、多分正しいと思うけど)たったの2個笑 これだけ走りやすい環境はないのではないか?
 とはいいつつ、天候は最悪だった。走り出して気付いたのは、風が強いってことだった。横から前から容赦なく風が吹いてくる。おまけに走り出してからしばらくすると、普通に雨が降り始めた笑 普通に雨である。風も合わせて考えると、弱い台風の中を走っているのとたいして変わりないような気さえした。
 一緒に出走した友人とは途中ではぐれてしまった。友人の方が私よりも速いので、ペースがうまく合わなかったのだ泣 最初のエイドステーションで再会はしたが、私がトイレに行きたかったのもあって、トイレは順番待ちの長蛇の列(寒いので)だったので、先に行ってもらった。
 友人の方が私よりも速いので、もはや追いつくことはないだろうと思い、210kmに渡る「一人旅」を決意したのであった。
 最初のエイドステーションにはわかめ蕎麦があったが、ぬるくてちょっと伸びており苦笑、あまり感動はしなかった。二度目のエイドステーションではイカタコ飯があった。このイカタコ飯は美味しい。そもそも新潟は米どころ、各エイドステーションにはオニギリ、コッペパン、バナナ、オレンジ、スポーツドリンク、水、といったところが準備されており、エイドステーションのボランティアの方々もやさしくて、いい人ばかりだった。沿道のお爺さん、お婆さんも、にこやかに声援してくれて、本当にほのぼのでよいかんじであった。
 走り始めて早々にけっこうきついスイッチバックの坂がある。いきなり脚を使わざるを得ない状況になる。その後は海岸線のゆるい上り→下り、というような道を延々行く。
 途中、「I love Rock'n Roll Music!」などどいう不思議な歌を歌っている外人さんと一緒になった。
「プリンス(私の愛車だ)乗ってるンだったら、この位の坂は、アウターにいれなヨ」とあおられ、思わずアウターに入れて、外人さんに引かれてスピードを上げた。外人さんは日本語がえらい上手で、助かった。なにせ、走りながら英語を喋るのは厳しいから苦笑 その外人さんは、assosの代理店の人で、「ピナレロの社長はassosしか着ないよ。あなたもassos着ないと。プリンス、カンパのレコードだろ?」「うん」「レコードいいだろ?」「うん」「じゃ、ウェアはassosだよ。ウェアもいいのにしないとね」「でもassosは高いじゃん。too expensiveだよ」「何いってんの?! あんたのバイクの10分の1以下で快適なウェアが手に入るんだヨ。高くない、高くない」
「そう言えば、今年のツールド八ヶ岳で、長袖ジャージ買ったよ」「あそう。富士は出るの?」「出るよ」「富士には掘り出し物出すから、来てね。ビブショーツ買うといいよ。サイズは?」「Mで大丈夫だと思うよ」「M持っていくから、買ってね」「うん」
 ってな謎な感じの会話を続けながら、楽しく走った。ひいてもらったので、下りも上りも多分自分の実力+30%で走れたような気がした。楽しかった。次のエイドステーションで外人さんとは別れた。
 そこから、また一人旅、となった。
 エイドステーションではハンガーノックが怖いので、食べれるだけ食べた。クエン酸補給のため梅干しはmustだったし、パンもオニギリも食べれるだけ食べた。寒かったので、ボトルの水分はあまり減らなかったが、体温維持のためには食糧補給には気を作った。
 100kmくらいは全然楽勝だった。しかし、160kmを超えたあたりから、脚が回らなくなってきた。尻もすれて痛くなるし、大腿四頭筋やハムストリングに乳酸がたまっているのが嫌と言うほど分かった。
 しかも笑うことに確か170kmくらいのところだろうか、けっこうな激坂があるのだ。これは本当に厳しかった。脚を付いている人も何人かいた。私は一応何とか頑張ってみた苦笑
 そうこうするうちに、ゴールしたのは16時過ぎ。ゴールする頃には晴れ間が広がりつつあった。まったくもって、晴れるのが遅すぎる……。先に着いて車の中で休んでいた友人に待たせた旨詫びを言い、ホテルに戻る。
 今晩はホテルの夕食をキャンセルし、「いしはら」という寿司屋で食事をした。素材がいいのだろう、本当に美味しかった。握りもよかったのだが、私自身はつまみで食べた「かわはぎの肝和え」が非常に美味しかった。

 210kmを大過なく走り終えたということは、それなりに自分の自信になった。ただ、天気が悪いのだけが残念だった。天気が良ければもっと佐渡を楽しめたのに……と思う。

敵 (新潮文庫)

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